7月16日(火)午後、「子どもの貧困対策 関西フォーラム」を滋賀県と共催し、滋賀県庁でで開催しました。
会場・オンラインをあわせて161人が参加しました。
小河光治・あすのば代表理事の開会あいさつに続いて、関西フォーラム若者実行委員のみなさんが作成したオープニングムービー(https://www.youtube.com/watch?v=zSnYzcbN0zE)が披露され、関西地区のこども・若者の声の紹介。
続いて、あすのば6千人調査の関西地区集計結果を花野公彦・三菱UFJリサーチ&コンサルティング研究員が発表しました。
そして、三日月大造・滋賀県知事と末冨芳・日本大学教授が登壇し、「子どもの貧困解消へ 自治体で取り組むべきことは」をテーマに対談しました。
三日月知事は、
「3期目の知事就任の記者会見で『子ども、子ども、子ども』と発言しました。1つ目は、ひとりひとりの主体としての子ども、2つ目は、社会の一員としての子ども、そして3つ目は、未来への希望としての子どもという意味で、子どものために子どもとともにつくる県政を目指しています。また、全国知事会『子ども・子育て政策推進本部』本部長として、重点項目として『困難な環境にある子どもたちへの支援強化』について国への提言をとりまとめています。今後は、子どもを真ん中に置いた切れ目のない施策、『滋賀県子ども基本条例』(仮称)を踏まえた子どもの意見の聴取、反映に重点的に取り組みたいと考えています。これにこそ私たちが払っている資源を振り向けよう、足りなければみんなで負担し合おうという合意形成はできると思うし、ぜひ地方から一人一人が声を上げてやっていくっていうことが大切だと思います」
と述べました。
続いて末冨教授は、
「10年以上ずっと子どもの貧困解消に関わってきました。大学や私立高校の無償化など国として頑張ってきた部分はあるけれど、さきほどの子ども・若者たちの声もそうですし、6000人アンケートの分析もそうなんですけど、全然良くなってない。子どもの貧困こそ、一番深刻な権利侵害です。最優先の課題として子どもの貧困の解消をしなくてはいけないということを、あすのばはじめ子ども・若者団体のみなさんが強くおっしゃっり、私もそのチームに加わり、『子どもの貧困解消法』と法律の名称が変わりました。ものすごい難易度の高い法改正でした。目的も大きく変わり、この国からお腹を空かせたり、進学に悩んだり、必要な医療すら受けられないという状態をなくさなきゃいけないという強い思いが通じ、奇跡のような法改正となりました。今後、自治体にお願いしたいことは、一つでも多くの安心をつくることをしていただきたいと思います。食べ物がなかったら誰かが必ず届けるよ。あるいは、水道費は困窮する子育て世帯には免除でよくないですか。安心を増やしていけば、心配は逆に減っていきます」
と述べました。
その後のパネルディスカッション「絶望の連鎖を断ち切るために」には、パネラーとして、兵庫県明石市副市長の佐野洋子さん、NPO法人西成チャイルド・ケア・センター代表理事の川辺康子さん、公益財団法人京都市ユースサービス協会ケア事業担当統括の竹田明子さんが登壇。コーディネーターは、NPO法人こどもソーシャルワークセンター理事長の幸重忠孝さんが務めました。
佐野さんからは、明石市の先駆的な施策を紹介。ひとり親世帯への養育費の立替払、児童扶養手当の毎月支給、高校入学時30万円と在学時に月1万円の給付金制度、児童相談所の運営などさまざまな困難を抱える子どもやその世帯への手厚い支援について発言しました。
川辺さんからは、大阪市西成区での「にしなりこども食堂」での取り組みを紹介。西成区では、長年にわたって、さまざまな課題を抱える子どもに関する支援のための「要保護児童対策地域協議会」の活動が活発で、とくに学校との連携がすすんでいることなどについて発言しました。
竹田さんからは、京都市内各地のユースセンターを中心にした活動を紹介。夜のユースセンターは、コロナ禍で居場所を失ったと子ども・若者を対象に18~23時の夜の若者食堂を開設した活動などで肌で知った若者たちの困窮の実態などについて発言しました。
全体会の最後には、助成いただいている公益財団法人キリン福祉財団参与・事業部長の大島宏之さんに、ごあいさつをいただきました。
分科会は、認定NPO法人おてらおやつクラブ職員の上村康弘さんがコーディネーターを務めました。
グループごとに「今日の話題で印象に残ったこと、気になったこと」などについて活発な意見交換をしました。
【参加者の感想】
○滋賀県や国の動きや、これから向いている方向が分かり、時間もしっかりとってもらい、直接知れて本当に良かった。パネルディスカッションには、すべてに対して「そうそう」「同じく」「全くそうだ!」としか思えなくて、本当にどこであろうとも、子どもたちを大切に思う気持ちは一緒。さらに悩みやぶつかる先も同じようになる。ただ、パネラーの場所はやっぱり進んでるなあとうらやましく思いました。
○知らないことをたくさん知りました。もっともっとたくさんの人達に知られる機会が増えると、悲しいことが減るのではないでしょうか。信頼できる大人が大事です。ぜひ現状が広く知られ、そのような人が一人でも多くの子どもの声がひろえたらよいな。何が出来るかな、考えてみます。
○登壇者の熱意が伝わり、みなさんが社会の希望だと思いました。「ひとつでも多く、安心をつくる」という言葉を大切にしたいと思います。
【子どもの貧困対策 関西フォーラム】
日 時:2024年7月16日(火)14時~18時
場 所:滋賀県庁新館大会議室(大津市京町4-1-1)
主 催:公益財団法人あすのば
共 催:滋賀県
後 援:こども家庭庁、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
協 力:社会福祉法人滋賀県社会福祉協議会、NPO法人こどもソーシャルワークセンター
助 成:公益財団法人キリン福祉財団
参加者:計161人(うち会場参加者111人・オンライン参加者50人)