子どもの貧困対策センター 公益財団法人あすのば

子どもの貧困対策センター 公益財団法人あすのば

2024.06.20|

【こどもの貧困解消法】抜本的な改正案が成立!

改正子どもの貧困対策推進法が可決した参院本会議=参議院インターネット審議中継より
 
 
子どもの貧困対策法の改正案が、6月19日午前、参議院本会議で可決、成立しました。法律名に「こどもの貧困の解消」が明記されるなど大幅な改正となりました。

 

今年3月に、あすのば、キッズドア、しんぐるまざあず・ふぉーらむ、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、Learning for Allの5団体が、超党派の「子どもの貧困対策推進議員連盟(田村憲久会長)」への法改正の共同提言をし、その多くの要望を盛り込んだ改正となりました。
改正法の施行は、公布から3か月以内で、今後は地方自治体の対策計画の見直しなどがすすむ予定です。

 

また、同日午後、厚生労働省で法改正を受けて、小河光治・あすのば代表理事、渡辺由美子・キッズドア理事長、赤石千衣子・しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長が記者会見を開きました。

左から赤石千衣子・しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長、小河光治・あすのば代表理事、渡辺由美子・キッズドア理事長

 

小河代表は「こどもの貧困の解消に向けて、ひとり親世帯への児童扶養手当の大幅な増額やふたり親困窮世帯を含め児童手当などの加算などの施策、こども家庭庁の体制強化をすぐに実行する必要がある」などと述べました。

 

・「子どもの貧困解消法」へ 改正のポイント(PDF)

・こどもの貧困解消法 新旧対照表(PDF)

・こどもの貧困解消法参議院付帯決議(PDF)

 

「子どもの貧困解消法」へ 改正のポイント


【法律名】

「子どもの貧困対策推進法」から「こどもの貧困の解消に向けた対策推進法」に変更

 

【すべての法文】

「子どもの貧困対策」から「こどもの貧困の解消に向けた対策」に変更

 

【目的】
〇「子どもの現在及び将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう」から「貧困により、こどもが適切な養育・教育・医療を受けられないこと、多様な体験の機会を得られないこと、権利利益を害され、社会から孤立することのないよう」と変更し、目的を明確化(第1条)
〇「児童の権利条約の精神」に加え、「日本国憲法第二十五条(生存権)、こども基本法の精神にのっとり」が追記(第1条)

 

【基本理念】
〇「現在のこどもの貧困を解消しつつ将来のこどもの貧困を防ぐこと」が新設(第3条2)
〇「妊娠から出産まで、おとなになるまでの支援が切れ目なく行われるよう」が新設(第3条3)
〇「こどもの貧困が家族の責任に係る問題としてのみ捉えられるべきものではなく」、「国民の理解を深めることを通じて、社会的な取組として推進」が追記(第3条5)

 

【基本的施策】
〇貧困の指標に「ひとり親世帯の養育費受領率」が追記(第9条2二)
〇大綱作成には「こどもや家族、学識経験者、民間団体などの意見を反映」が復活(第9条3)
〇教育支援には「こどもに対する学校教育の充実」、「学校教育の体制の整備」が追記(第11条)
〇生活支援の対象は「子ども・保護者」から「こども・その家族」に変更。「住居の確保・保健医療サービス利用の支援」が追記(第12条)
〇保護者の就労支援には「雇用の安定」が追記(第13条)
○経済的支援には「こども・その家族の生活の実態を踏まえ」が追記(第14条)
民間団体の活動支援として「財政上の措置その他必要な施策を講ずる」が新設(第15条)
〇調査研究の事項に「こどもの貧困の実態、貧困の指標、こども・家族の支援の在り方、こどもの貧困を防ぐための施策の在り方、地域の状況に応じた対策の在り方」が新設(第16条)

 

【主な附帯決議】
〇こどものみならず、その家族さらには若者世代を含めて衣食住に困る等の生活困窮、十分な医療を受けれないこと等がないよう貧困の解消に向けた対策を実施すること
○相対的貧困率が著しく高いひとり親家庭を対象とした多面的な支援に取り組むこと
養育費の更なる履行確保に向けた強化を図ること
地域間格差生じないよう、各地方公共団体における支援体制の強化を図ること
○こどもの貧困の解消に向け、こども家庭庁の体制の強化を図ること

 

〈報道は以下のとおり(2024年6月20日時点)


・朝日新聞『「こどもの貧困解消法」成立へ、学校教育の整備、調査研究など明記』

・毎日新聞『改正子ども貧困対策推進法成立』

・NHKニュース『“子どもの貧困対策”改正法が成立 民間団体への財政支援など』

・日本経済新聞『改正子ども貧困対策法成立 養育費受け取り世帯増加へ』

・共同通信『改正子ども貧困対策法が成立 養育費受け取る世帯増を目指す』

・時事通信『子どもの貧困、「解消」明記=改正対策法が成立』

・日テレNEWS NNN『こどもの貧困解消へ ひとり親への支援求める』

・教育新聞『「こどもの貧困解消」を明記 改正対策推進法が成立』

・日本教育新聞『「解消へ前進」支援団体が評価 改正貧困対策法成立で』

 

<関連記事>

・朝日新聞『子どもの貧困深刻化、世帯年収178万円 「消えてしまいたい」の声』

※あすのばの実施した「あすのば6千人調査」が引用されています

新着記事一覧

アーカイブ

毎月500円からの継続寄付 あすのば応援団募集中!

TOP