子どもの貧困対策センター 公益財団法人あすのば

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2024.11.19|

「生活保護・住民税非課税世帯6千人調査」最終報告・政策提言を発表

【更新履歴】
2024年11月13日 最終報告書と提言を公開
2024年11月19日 訂正を掲載


「あすのば入学・新生活応援給付金」などを受給した全国の生活保護世帯・住民税非課税世帯などの子ども・若者(小学4年生~20代半ば)と保護者6千人調査の最終報告がまとまり、11月13日夜、オンライン報告会(参加者83人)を実施しました(分析協力:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)。

あわせて、国や自治体への政策提言も発表しました。

【お詫びと訂正について】
13日に発表した最終報告書の小中学生の集計の合計数のデータに誤りがあることが、判明しました。
発表時のグラフでは、回答数n=553となっていましたが、無効票2件が集計に含まれており小中学生の有効回答数であるn=551を上回っておりました。
発表時の最終報告書の図表41(41ページ)、42(42ページ)、44(43ページ)、46(44ページ)に誤りがありました。 正しくn=551で再集計を行いました。
訂正後の最終報告書は、以下のとおりです。 心からお詫び申しあげ、訂正いたします。

 

「生活保護・住民税非課税世帯6千人調査」最終報告書(訂正版)(PDF)

 

こどもの貧困解消に向けた政策提言(PDF)

 

 

■最終報告における追加的分析

中間報告においてはアンケート対象世帯やその子どもたちの貧困の危機的状況が鮮明に浮かび上がってきました。

さらにコロナ禍の影響や、物価高の影響は現在に至るまでも状況を悪化させていると言えます。
最終報告では、こうした危機的状況について更なる深堀を行うと共に、現状に対して必要な支援とは何かを検討するために、以下の 3 点に視点を絞り追加的な分析を行いました。

 

 

分析の視点 分析方針
①家庭における保護者・子ども支援のための実態把握 保護者調査を用い経済的困窮の実相について深堀を行うとともに、必要な家庭における保護者・子ども支援のあり方に係る提言に繋げるため、以下の方針に基づく実態把握を行う。
・経済的困窮と「関係性の貧困」「心理面での困難」
・経済的困窮と「機会の貧困」
・経済的困窮と支援との接続
・生活保護受給と困窮・剥奪
・親学歴と困窮・剥奪
②学校における子ども支援のための実態把握 子ども調査(主に小・中学生調査、高校生調査)を用い、学校生活と貧困や様々な子どもの意識面の関係性の実態について深堀を行うとともに、必要な学校における子ども支援のあり方に係る提言に繋げるため、以下の方針に基づく実態把握を行う。
・「授業が分からない」「学校が楽しくない」等、学校に居場所感を感じられない子どもの状況
③若者支援のための実態把握 就業者、非就業者調査の結果を再度検討し、必要な若者支援のあり方に係る提言について検討を行う。

 


■追加的分析の主要な結果

 

①家庭における保護者・子ども支援のための実態把握

・ 世帯の収入が低いほど、頼れる人がいないという「関係性の貧困」や、精神的な不調の程度が高くなる傾向が見られた。また、生活保護受給経験をもつ世帯でも同様の傾向が見られた。まずは家庭における大人(保護者)の安定性の確保のために、経済的支援や、繋がりづくりの支援、精神面でのサポートが重要であることが示唆された。また、世帯の収入が低いほど、子どもに係る「機会の貧困」の程度が高くなる傾向も見られた。子どもの家庭外も含む生活・学習等の安定という目的においても、家庭における保護者への様々な支援の意味が大きいことが示された。

 

・ 保護者の学歴によって、経済的困窮や関係性の貧困、就労の不安定さの程度が高まるという関係性が見られた。特にコロナ禍による影響では、中学校卒の保護者において「子どもが不登校や学校を休むことが増えた」「子どもの学力が下がった」の割合が他の学歴よりも顕著に高くなっていることが懸念される。子ども世代への貧困の連鎖の抑止という観点からも、保護者に対する、手厚い経済保障や就労支援とセットになった学び直しの場の保障が求められる。

 

②学校における子ども支援のための実態把握

家庭の貧困が、学校生活の居場所感の剥奪にも関連している可能性が示唆された。

 

・ また、学校が楽しくないことが精神的な不調に影響している可能性と、家庭における困難等による心理的なストレスが、学校が楽しくないという結果に繋がっている可能性の両面が考えられる。子どもの学校生活の基盤確立のためにも、家庭の安定性を確保することの重要性が示唆されると共に、学校を、どのような背景を持つ子どもにとっても居場所感を場所としていくことの重要性が示唆された。なお、学校での居場所感の剥奪は、自分の意見を「聞いてもらえない」という感覚により強化されてしまう可能性がある点に留意が必要である。

 

・ 学校を「ぜんぜん楽しくない」と回答した子どもは、将来の進学希望について「まだわからない」と回答する子どもの割合が高かった。現状の精神的な安定や居場所感の獲得が、将来への見通しを得る足掛かりとなるのではないか。

 

③若者支援のための実態把握

・ 就業している若者の将来への希望として、キャリアアップのための自己研鑽に対するニーズが高かった。またその方法として、就業を継続し、バランスを取りながら学べる機会のニーズがより高いのではないかと考えられる。就業・就学していない若者も同様に、学習やキャリア形成への意欲を見出せる。

 

・ 他方、就業・就学していない若者の支援拠点等の利用については、認知度の低さ等に加えて、交通費の不足や外出への忌避感、知らない人に会うことへの忌避感など、家の外に出ることの様々な障壁の存在が明らかになった。 

 

就業している若者には仕事と両立できる学びの機会、就業していない若者には外出することの障壁の除去等、状況とニーズに応じた若者支援、そして学校機関に繋がっている時からの総合的なキャリア形成支援が必要であると考えられる。

 


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メディア掲載

毎日新聞11/14<生活苦の子ほど「学校楽しくない」 授業理解にも影響 支援団体調査>

https://mainichi.jp/articles/20241114/k00/00m/040/002000c

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