2024/3/15 当日の配信動画を公開しました
2024年2月27日(火)、「子どもの貧困対策 九州・沖縄フォーラム」(こども家庭庁、九州・沖縄全県が後援)を福岡市のアクロス福岡円形ホールで開催しました。会場・オンラインをあわせて127人が参加しました。
2023年5月に「全国47都道府県キャラバン」が完遂。のべ 4,333人の方々にご参加いただきました。この全国キャラバンでのつながりをさらに発展させ、各地での先駆的な取り組みのヨコ展開や、実効性の高い自治体のこども支援計画などの策定につなげるために、各地でブロック集会を実施することにしました。昨年11月の関東甲信越ブロック集会に続き、第2回目が今回の集会となりました。
フォーラムの司会は、あすのば子ども・若者委員の秋田優作さん(大分大学3年)が務めました。
小河光治・あすのば代表理事の開会あいさつに続いて、基調講演は、沖縄大学教授で「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク世話人の山野良一さんが登壇しました。「子どもの貧困に関する議論と調査から考える国・自治体の役割」と題し、貧困の子育て世帯ほど公的機関に相談せず孤立しやすいことを、沖縄子ども調査(2015年~2021年)を用いて解説。困窮世帯につながることを重視した越前市の貧困支援ネットワークの事例を紹介し、総合的な相談機関や専門職の配置がよりいっそう重要になるなどとお話しされました。
パネルディスカッション「先駆的事例に学ぶこどもの貧困対策」には、秋吉晴子さん(しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄代表)、甲斐圭子さん(特定非営利活動法人らしく理事長)、田口吾郎さん(特定非営利活動法人いるか代表理事)、藤井宥貴子さん(一般社団法人ウィメンズ・フォーラムくまもと代表理事)がパネリストとして登壇し、山野良一さんがコーディネーターを務めました。
先駆的なとりくみとして、秋吉さんは 「ひとり親家庭の物価高による影響調査」、甲斐さんは「子どもたちが夢をあきらめない地域づくりをめざして」、 田口さんは 「だれ一人取り残さない!九州全域への多機能型学習支援連携展開事業」、藤井さんは「すべての子どもが笑顔でいられる社会を創る!シェアステーションましきの取り組み」と題して取り組みの概要を報告しました。物価高によって貧困が改善しないために虐待や孤立などさまざまな問題が引き起こされていること、新たな子ども貧困支援の事業などが紹介され、現状と課題について意見交換しました。オンラインや会場参加者からも質問が寄せられました。
その後、全国キャラバンに引き続き助成をいただいている公益財団法人キリン福祉財団から常務理事・事務局長の大島宏之さんに、ごあいさつをいただきました。
分科会は、山本倫子さん(一般社団法人ひとり親家庭福祉会ながさき事務局長)がコーディネーターを務めました。参加者をランダムに4つのグループに分け、参加のきっかけなどを出し合っていただき、会場全体で共有しました。
【参加者の感想】
●公的サービスの偏りと地域格差のお話、はっとさせられました。もっと地域格差を可視化させていかなければ、と改めて思いました。表面的な困窮状態以上に、根源にあるジェンダー格差と労働の在り方にもっと光を当てたいとも思いました。各地の発表も興味深く、「災害後にひとり親が増える」という熊本からのご指摘に驚きました。
●とても濃い時間でした。一見して良さげに見える行政の施策も副作用もあるんだなと思ったり、両親揃っていたのに低所得の仲間入りで子どもに苦労させたなと思ったり、オンライン画面越しに共感したり感心したりかなり忙しい感情の動きでした。
●子どもの貧困施策が15年前と比べて随分と進み、地域の支援団体が活発化するなか、今回のテーマにある自治体の役割や民間の役割について再考すべき時期となっていると考えます。特に、学習支援などは塾産業の進出などが進んでおり、こうした担い手をどのように考えるべきか、自治体の支援団体依存をどう考えるか、など。コーディネーターの山野先生の問いかけがありましたが、もう少し議論が深まればさらに意義あるものになったと思います。
【子どもの貧困対策 九州・沖縄フォーラム】
日 時:2024年2月27日(火)13時~17時
場 所:アクロス福岡 円形ホール (福岡県福岡市天神1-1-1)
主 催:公益財団法人あすのば
後 援:こども家庭庁、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県
助 成:公益財団法人キリン福祉財団
参加者:計127人(うち会場参加者62人・オンライン参加者65人)