左から小河光治・あすのば代表理事、渡辺由美子・キッズドア理事長、小森雅子・しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事、田代光恵・セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン職員
子どもの貧困対策法の改正に向けて、3月7日午前、衆議院第二議員会館第2会議室で、超党派の国会議員で組織する「子どもの貧困対策推進議員連盟」総会が開催されました。
2013年6月19日に全国会議員の賛成で成立した子どもの貧困対策法は、2019年の改正後、2022年にこども基本法の制定に伴い改正されました。
2019年から5年が経過し、再度改正の時期を迎えます。
議連総会では、田村憲久・議連会長(元厚生労働大臣)のあいさつに続いて、公益財団法人あすのば、認定特定非営利活動法人キッズドア、特定非営利活動法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、認定特定非営利活動法人Learning for Allの5団体からの共同提言として「『子どもの貧困対策推進』から『こどもの貧困解消』へ 子どもの貧困対策法改正に関する提言書」について、小河光治・あすのば代表理事、渡辺由美子・キッズドア理事長、小森雅子・しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事、田代光恵・セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン職員が説明しました。
提言書は、下記からダウンロードできます。
小河代表理事は、「ちょうど11年前のいまごろ、子どもの貧困対策法の成立に向けて、急ピッチな準備がスタートしました。与野党が一つになって子どもの貧困対策法が成立しました。あれから11年で子どもの貧困対策は、大きく前進しました。5年前の法改正では、子どもの権利、子どもの貧困は社会の課題、子どもの『未来』だけではなく『現在』の支援も、市町村対策計画の努力義務化などを明記いただきました。
昨年末に策定されたこども大綱には、3か所も「こどもの貧困を解消」と書かれています。
今回の改正の第1のポイントは、このこども大綱に沿って、子どもの貧困対策推進から子どもの貧困解消に大きく舵を切っていただきたいことです。
2つ目のポイントは、こども基本法の制定にともなって、子どもの貧困対策法も改正されています。この改正で閣僚会議である子どもの貧困対策会議がなくなってしまいました。ユニバーサルな子ども支援の拡充は大切ですが、田村会長がおっしゃっているとおり最優先すべきは、困難を抱える子ども・若者支援です。子どもの貧困対策基本法に法律の名称も変えていただきたいと願っています。
3つ目のポイントは、議員立法として成立し実効性の高い法律である自殺対策基本法やがん対策基本法で明記されている内容を参考に拡充してほしい点です」と説明しました。
その後、与野党の国会議員から活発な意見交換が続き、再度、小河代表理事に発言が求められました。
小河代表理事は、「危惧しているのは、こども家庭庁発足後、子どもの貧困対策は、現実に薄まっていることです。
このままでは、とりわけ地方自治体は、もっとこれから薄まります。地方の役所も人がいないので『行政のスリム化』の一つになってしまいます。
現状の都道府県や市町村の対策計画の質の格差もひどいです。地域格差もなくさなくてはならず、困難を抱えるスペシャルニーズを持っている子どもたちをしっかりとまず、国がその意思表明として法改正をしてください。この子たちは取り残してはいけない。政府の『子どものまんなか』の、ど真ん中にいるのは、この子たちなんだというメッセージを今回、法改正で入れていただかなきゃいけないと願っています。
一方で、地方でも、この10年間ですばらしい積み上げもあります。子どもの貧困対策として頑張ってきたものがどんどん薄れていくとなると、大変なことになります。ここでハンドルを切り換えていただかないと本当に困ります。
ぜひ、この国会の中で法改正を成立していただけるとありがたいと願っています。今回も超党派で一つにまとまっていただき、ご尽力いただきますよう、よろしくお願いいたします」と話しました。
田村憲久・議連会長(元厚生労働大臣)
総会の最後に、田村会長は「いま、小河さんからなるべく早く設立をというお話がありました。我々も努力をしてまいりたいと思います。
『ど真ん中は、これだ』と言われましたが、子どもが安全・安心で生活できること、子どもの貧困だとかDVだとか、虐待の問題が、本当は一番なんです。
間違いなく。生きていくことができなかったらその後もないのですから。
やっぱり、『そこが薄まっている』と支援団体の皆様方がおっしゃられるというのは、大きな問題があると思います。
ですから、薄まらないような法改正ができるように、我々としては努力したいと思いますので、どうか行政の方もご協力をいただきますように、よろしくお願いいたします」と述べました。