コロナ禍による中断を経て3年ぶりに開催された2泊3日の「USNOVA SUMMER CAMP」。
子どもの貧困対策に取り組む意欲のある若者たちとつながるために開催し、全国各地から高校生・大学生を中心に20人の若者が集まりました。感染対策を強化したこともあり、前回2019年の100人規模に比べて小規模なスタートでした。その分、これまで以上に参加者全体で一体感のある時間となりました。
初めに若者たちは4班に分かれ、運で勝敗が左右される班対抗ゲームを行いました。夕食のバーベキューの食材を獲得するという名目で行われた、このゲーム。夕食後のワークショップが活性化するよう、参加者の間で共通の体験をつくってもらう狙いでした。実際にワークショップでは、班対抗ゲームを引き合いにして「自助」「共助」「公助」について話し合いました。
2日目。午前中、あすのばの事業について紹介する時間が設けられ、かつて大学生として事業に関わってきた社会人らが自身の生い立ちや当時の思いを語りました。午後のワークショップでは、若者たちが「きづく」「まもる」「つなぐ」「かえる」の4テーマのうち1つを選んで意見交換を行う分科会が開かれました。その中でテーマごとに「現状の課題」「目指すべき理想」「アクション」について話し合われ、一時保護の実情や施設退所後の支援の手薄さなど、自身の経験を語る若者たちの姿もありました。その夜には、キャンプファイヤーが行われ、初日とはうって変わり若者たちが打ち解けた笑顔を見せていました。
最終日の3日目。最後のプログラムとして、子どもの貧困に対して自分に何ができるかを考えるワークショップが行われました。児童養護施設を経験し、経済的な理由で進学を断念したという若者は「まだまだ支援が手薄で地域格差も大きい。多くの人に現状を考えてもらえるようにしたい」と話していました。また、専門学校でデザインについて学んでいる若者は「デザインの力で貧困の渦中にある子どもたちがポジティブになれる取り組みがしたい」と話していました。このほかにも「助けてと言える世界にしたい。そのためにも似た境遇の人が語り合える場づくりが大事ではないか」といった声や「子どもたちの居場所支援で活用できるボードゲームをつくりたい」といった声などが聞かれました。
「子どもの貧困について一人で悶々と考えることはあったが、今回のように誰かと話し合ったりすることはなかった。それが原因なのか自分の気持ちや思いを他人に伝えることがとても難しかった。帰ってから一人ぼんやり振り返ってみると私は居場所を求めて参加したのだと思った。私は悲しくて苦しかった子ども時代を文学で美化し誤魔化していた。ずっと受け入れられなかった。今回の行事で初めて一時保護所にいたことや児童養護施設にいたことを話した。すごく勇気を出した。ドキドキしたけど少しだけ辛かった自分を認めて貰えたような気がした」
(関西圏・10代)。
どうやって問題に対処すべきか話し合う中で、若者たちにとっては他者の価値観や苦しみに触れるとともに、自分自身の内面についても問いかける機会になったようでした。若者たちと力を合わせ、子どもの貧困がない、やさしい社会に向けて少しずつ漕ぎ出していきます。
『USNOVA SUMMER CAMP』 開催概要
【開催目的】
子どもの貧困をなくすために活動する高校生・大学生世代の仲間とつながるとともに、お互いの価値観を知り、それを尊重し、結束して今後のあすのばの活動をすすめていくことを目的として開催
【開催概要】
■日程:2022年8月16日(火)~18日(木)<2泊3日>
■会場:千葉県立鴨川青少年自然の家(〒299-2862 千葉県鴨川市太海122-1)
■参加:20人
■参加資格:
①子どもの貧困に関して強い関心がある
②学習支援や子ども食堂などの子ども・若者支援ボランティア経験がある
③ひとり親家庭での生活、生活保護などの支援、社会的養護の経験などがある