「非課税相当特例」枠を新設
これまでの入学・新生活応援給付金では、住民税非課税世帯・生活保護を受給している世帯の子ども、児童養護施設などで生活している子どもたちが申し込みの対象でした。
しかし、住民税が非課税であるかどうかは前年の収入が基準となります。そのため、給付金を申し込もうとする年に家計の状況が急変した場合でも、住民税は課税されているために非該当とせざるを得ないことが課題でした。
特に、2020年夏に実施した緊急支援給付金では、「コロナで家計に大きな影響を受けた」という状況でありながら、申し込み要件に当てはまらず、給付金を届けることができないというケースが少なからず生じてしまいました。
そのため、今回の入学・新生活応援給付金では、「非課税相当特例」という申し込み要件を緊急支援第三弾として新たに設けました。
2020年の年収が、住民税非課税世帯と同じくらいまで減少している場合には「住民税非課税世帯に相当する」とみなすものです。この要件を設定したことによって、これまでは「内定後非該当」とされてしまっていた子どもたちも、保護者の年収が基準額以内であれば、給付金を届けることができるようになりました。その結果、89人に非課税相当世帯の子どもとして送金することができました(4月13日時点)。
そのうち、約44%の人が2020年の年収について2019年の年収と比較して50%以上の減収となっており、この給付金が入学・新生活の一助となることを願ってやみません。
新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮して導入した「非課税相当特例」の申し込み要件ですが、保護者の病気や突然の失業などで家計の状況が急変してしまうということは、たとえ感染の状況が収束したとしても起こり得ることです。緊急支援第三弾としての結果や効果を分析・検証し、今後の入学・新生活応援給付金においても事業内の制度化を図っていきたいと考えています。
採用者の状況と今後の給付金事業のあり方
今回の給付金には過去最多となる8,000人を超える人からの申込がありました。それに対して、約5,000人へ「不採用」のご連絡をせざるを得ない状況について心苦しく思うとともに、これまでも公的制度の改善や拡充を目指すモデル事業として展開してまいりましたが、あらためて小さな民間団体ができる支援の限界を痛感しています。
【図1】申込者区分の内訳(社会的養護を除く)
今回、給付金に申込のあった住民税非課税・生活保護・非課税相当世帯の構成割合は、住民税非課税世帯から約75%(青)、生活保護世帯から20%(赤)、非課税相当から5%(緑)でした。一方、年収や世帯人数などの状況を踏まえて選考させていただき、給付決定となった採用者(4月13日時点)の割合は以下の通りです。
【図2】給付金採用者の内訳(社会的養護を除く)
その構成割合は、住民税非課税世帯から約89%(青)、生活保護世帯から約6%(赤)、非課税相当から5%(緑)という結果でした。申込時点と比較すると、生活保護世帯の割合が大幅に減少し、より住民税非課税世帯が多く採用されていることになります。なお、2019年度の給付金採用者は住民税非課税世帯から78%、生活保護世帯から約22%の割合でした。
このことから示唆されるひとつは、今回さらに厳しい選考基準となリ経済的に苦しい中のさらに苦しい人で定員が埋まり、生活保護を利用する人まで十分に給付金をお届けできなかったことです。毎年わずかな差で給付金の採否が決まり、「不採用」となってしまった人たちも給付金が必要のない人たちでは決してありません。今後さらなる分析と、その実態に基づく支援制度拡充へ向けた活動を目指してまいります。
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