子どもの貧困対策センター 公益財団法人あすのば

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2018.07.20|

子どもの貧困対策議員連盟で法律・大綱の改正を提言

 

 

 7月19日午後、子どもの貧困対策推進議員連盟の総会が衆議院第二議員会館で開催され、「子どもの生活と声 1500人アンケート」の最終報告と子どもの貧困法と大綱の改正に向けたあすのばからの提言について議論されました。

 最初に、議連会長の田村憲久・元厚生労働大臣は「子どもの貧困対策法は、来年1月に施行から5年、大綱は来年8月に閣議決定から5年になり、それぞれ見直し時期を迎える。政府も見直しに向かっての議論が始めることと思うが、我々議員も見直しに向かって意見をまとめ、政府に提言ができればと思う。きょうは、そのキックオフにしたい」と述べました。

 続いて、調査検討会の座長であすのば理事の末冨芳・日本大学教授、同検討会委員の花澤昴乃さん(慶応義塾大学3年)と小河光治・あすのば代表理事が発言しました。末冨教授は、「最終報告では、特徴の似たケースを集めたクラスタ分析の結果、ひとり親のみならず、ふたり親多子世帯、両親は非正規雇用で低所得にも関わらずがんばっているような世帯への支援が必要だという重要なエビデンスが得られた」などと述べました。続いて、花澤さんは、「私自身も母子家庭で育ち、普段は生活の厳しい子どもたちと関わっている経験からも、子ども貧困というと子どもが注目されがちだが、親が追い込まれていることが問題だ。親が苦しんでいることはダイレクトに子どもに影響する。あすのば給付金のように支えられていると実感できることがとても重要だ」などと自分の体験も交えて発言しました。
 続いて、小河代表理事が法律と大綱の改正に向けた提言を発表。法律の基本理念の改正については、①「貧困の連鎖を断ち切る」のみならず「現在」の子どもの貧困の解消も、②「子どもの貧困は社会の課題である」ことを明記、③貧困状況の子どもにこそ子どもの権利条約の尊重を-と提言。また、その他の法律・大綱の改正については、④再分配をすすめ、家族まるごと生活・就労・経済的支援の拡充を、⑤多様な世帯への対応 もれなく、きめの細かい、柔軟な対策の充実を、⑥既存の制度の周知徹底・使い勝手の改善 先駆的制度の全国実施を、⑦学校をすべての子どもたちが大切にされる場所に、⑧全国調査の実施と多面的な子どもの貧困指標と改善目標などの設定、⑨都道府県対策計画を努力義務から義務に 市町村対策計画の策定を-と要望しました。さらに、「子どもの貧困を予防し、制度の壁や崖をなくしていくためにも、普遍的な子ども支援制度の拡充も重要。児童手当の拡充、子ども医療費や給食費などの無償化、制服や学用品などの学校指定の廃止などもすすめていく必要がある」と述べました。

 

提言の詳細は、以下のとおり。

http://usnova.sakura.ne.jp/teigen180719.pdf

 

 また、あすのば評議員でアフターケア相談所「ゆずりは」の高橋亜美・所長から児童虐待防止に関する要望がありました。高橋所長は、「①孤立しない子育て・安心して子育てできる社会に、②義務教育の中での人権教育・性教育・男女平等・暴力について学ぶ,③児童相談所の体制強化、子育てに困難を抱える親が早期に相談できるシステムを、早期発見・迅速な介入」などについて発言しました。

 

 国会議員からは「幼稚園や保育園に通っていない全国20万人ほどの子どもの状況はかなり深刻ではないか」、「就学援助や給付型奨学金の周知を100%にするにはどうしたらいいか。児童虐待防止に向けて、児童相談所と警察の情報共有はどうあるべきか」、「子どもの貧困対策でも児童虐待防止でも親を救わないといけない。親支援をどう充実するかも重要」、「給食費の無償化が必要で、望まない妊娠出産防止のためにも性教育も大切だ」など質問や意見が相次ぎました。
 最後に、田村会長は「また新たな課題が出てきていると思っている。その解決に向かって先生方との意見をあわせていって、法律の見直しに向けて政府への提言をまとめていきたい」と述べました。

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