子どもの貧困対策法の改正案が、6月12日午前、参議院本会議で全会一致で可決、成立しました。あすのばや「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワークなどの改正に関する要望を取り入れていただき、超党派の「子どもの貧困対策推進議員連盟」を中心に改正案をまとめ、新しい子どもの貧困対策法が成立しました。改正法の施行は、公布から3か月以内で、今後は大綱の見直しが本格化する予定です。子どもの貧困対策法の改正のポイントは以下のとおりです。
子どもの貧困対策法改正のポイント
【目的・理念】
〇法の目的として、子どもの貧困対策の推進に加え、子どもの貧困の解消に資すること(第1条)
〇児童の権利に関する条約の精神にのっとり子どもの権利の尊重(第1・2条)
〇将来の「貧困の連鎖」を断ち切るだけでなく、現在の状況の改善(第1・2条)
〇貧困の状況にある子どものみならず、すべての子どもが心身ともに健やかに育成(第1条)
〇子どもの生活・環境の状況に応じて包括的かつ早期に講ずること(第2条2)
〇子どもの貧困対策は、その背景に様々な社会的要因があることを踏まえて推進(第2条3)
【大綱】
〇貧困の指標に、ひとり親世帯の貧困率、生活保護世帯の大学等進学率(第8条2二)
〇施策の実施状況の検証・評価と推進体制(第8条2五)
〇大綱作成にあたって、子どもや保護者、学識経験者、支援団体などの意見の尊重(第8条4)
〇都道府県のみならず、市区町村にも子どもの貧困対策計画の策定が努力義務に(第9条2)
【具体的施策】
〇教育支援は、教育の機会均等を図ること(第10条)
〇生活支援は、生活の安定に資するための支援(第11条)
〇ワーキングプアの解消に向け、保護者の所得の増大・職業生活の安定と向上(第12条)
〇調査研究は、貧困指標に関する研究が追記(第14条)
【附帯決議】
〇「現在」の貧困状態の改善を目的に加え、子どもへの直接的な支援以外の支援も含むことを強調し、保護者の所得の増大・職業生活の安定と向上への支援を含むことを明確にしたことを十分に踏まえ、大綱の変更等を適切に行うこと。
〇都道府県計画、市町村計画の策定に当たっても、子どもや保護者、学識経験者、支援団体などの意見を尊重すること。
〇子どもがどこの地域に住んでいようと適切な取組の下での支援を受けられるよう、市町村計画の有無にかかわらず各市町村と十分な連携を行い、子どもの貧困対策施策の充実を図ること。
〇計画を策定する市町村に過重な負担が生じることのないよう、市町村に対し、必要な学術的・財政的支援その他の援助を行うよう努めること。
〇子どもの貧困に関する調査が全国的に実施されるよう努めること。