11月10日(水)午後、「全国キャラバンin鹿児島」が、かごしま県民交流センターで開催され、70人(会場41人・オンライン29人)の方にご参加いただきました。鹿児島県と「かごしまこども食堂・地域食堂ネットワーク」が共催し、県内のこども食堂はじめ子ども・若者の支援者、市町村の子どもの貧困担当者らにご参加いただき、各市町村における子どもの貧困対策について考えました。
まず、小河光治代表理事の主催者あいさつに続いて、共催者の久保稔隆・鹿児島県くらし保健福祉部子育て支援課課長、園田愛美・「かごしまこども食堂・地域食堂ネットワーク」代表があいさつしました。
最初のプログラムは、小河代表が「市町村における子どもの貧困対策推進のために」をテーマに講演しました。鹿児島県内の市町村における「子どもの貧困対策計画」策定や改定の促進し、市町村で、こども食堂や学習支援など民間の支援活動などともに官民協働で対策をすすめていくことについて、他県での取り組み事例などの紹介を交えて話しました。続いて、鹿児島県の子どもの貧困の現状と対策について、有森朋子・鹿児島県子育て支援課主幹が説明しました。
パネル討議では、パネラーとして、「かごしまこども食堂・地域食堂ネットワーク」代表の園田さん、こども食堂の現場から「いぶすきそらまめ食堂」の中園伸宏さん、学習・生活支援の現場から「大隅くらし・しごとサポートセンター」の米藏雄大さんが登壇し、子どもたちの現状とどのようなサポートが必要かなどについて討議しました。
園田さんは、「『こども食堂に本当に必要とされている子どもが来ているのか』と質問されるが、『来ている子どもみんなが必要です』と答えている。親子で地域とのふれあい場が子ども食堂だ。私が子ども食堂をやろうと思ったのは、教員をしている私は、離島赴任時に、その島には商店がなく、食品の申込みを忘れて途方に暮れていたときに、島の方々からいろいろな食料をいただいて本当に助かり、一緒に食べることのもつ力を肌で感じたことからだ。こども食堂ですべてが解決するわけではなく、行政や地域のさまざまな方々とつながることで子どもを支えることができると考えている」と発言。
中園さんは、「5年前にこども食堂という場をつくって、貧困や虐待、不登校など子ども取り巻くさまざまな問題についてもみんなで考えようというコンセプトで活動を始めた。こども食堂は手段であって目的ではない。こども食堂に関わった高校生が『こども食堂は、愛情あふれる場だと実感した』と感想を寄せてくれたことがとてもうれしかった。子どものことを一緒に考える人がいるということが一番の支援なのではないかと考えている」と述べました。
米藏さんは、「高校卒業後に県外で務めて、地域のつながりの薄さを実感した。鹿児島に帰ってきて、学習や生活支援とともにこちらから出向く支援もしている。小中学生だけではなく、高校生の支援もしているが、一番大切なのが中退防止など高校生への支援だと考えている。通信制の高校生は、先生がその場にいないので相談相手もいない。就職活動などでも孤立するケースが少なくない。4人のうち3人が修学旅行を経験していなかったので、1泊2日で原付免許の取得に向けた合宿などもした。訪問支援については、勉強だけではなく、その子の興味があることにあわせて一緒にやることもしている。『人は怖いんだけど一人でいるのもつらいんだ』と話す子ども・若者も少なくない。そういう子ども・若者の『第3の大人』になろうと活動している」と話しました。
参加者からは、「貧困であっても一番悲しいのは、周りに人がいない、支援がないということだと考えます。だれにでも突然、貧困になることがある。そのときに周りに支援があるという状況に鹿児島がなっていたらいいなと考えています(30代女性)」、「コロナ禍により、子どもの貧困は大きな社会問題だと思います。国や行政、地域の住民が子どもたちの未来のことを考え、みんなで育てるという気持ちが必要だと思いました」などの感想が寄せられました。
準備から当日の運営まで、「かごしまこども食堂・地域食堂ネットワーク」のみなさまにご尽力いただきました。ご参加いただきましたみなさまを含めて心からお礼申しあげます。
【子どもの貧困対策 全国47都道府県キャラバンin鹿児島】
日時 2021年11月10日(水)13 時~15 時30分
会場 かごしま県民交流センター 大研修室(鹿児島市山下町14-50)
主催 公益財団法人あすのば/共催 鹿児島県、かごしまこども食堂・地域食堂ネットワーク
後援 内閣府、鹿児島県教育委員会、南日本新聞社、MBC南日本放送、KTS鹿児島テレビ放送、KKB鹿児島放送、KYTかごしま讀賣テレビ、エフエム鹿児島、鹿児島シティエフエム
助成 公益財団法人キリン福祉財団
参加者 70人