2021年2月28日(日)、「子どもの貧困対策 全国47都道府県キャラバンin茨城」を茨城県水戸生涯学習センターとオンラインのハイブリッドで開催しました。会場とオンラインで55人が参加しました。オンラインでは、県内はもとより、東京都・埼玉県・富山県からも参加がありました。
主催者挨拶を小河光治・あすのば代表理事が行い、開催都市の水戸市を代表して、高橋靖水戸市長が挨拶を行いました。茨城県を代表して滝睦美・茨城県保健福祉部子ども政策局長からビデオメッセージが届き、披露しました。「子どもの貧困対策~茨城県の現況と施策について~」、萩谷友美・茨城県保健福祉部子ども政策局青少年家庭課主任が話をしました。
パネルディスカッションは『それぞれの立場から見た子どもの貧困』をテーマに、パネリストには、小笠原紀子さん(スリランカ人を支援されている方)、関貴教さん(児童養護施設職員)、ジャン・ユエさん(茨城大学人文社会科学研究科文化科学専攻大学院修士1年)、が登壇、コーディネーターは、原口弥生さん(茨城大学人文社会科学部教授)が務めました。司会は、三崎優さん(茨城大学人文社会科学部3年)が行いました。
先ず、関さんから「社会的養護の立場から見た子どもの貧困」について、社会的養護の下で育った子どもたちにとって、「ヒト・モノ・カネ」のうち、モノとカネは充足してきているように思うが、ヒトがより足りない。人は誰かと繋がっているから生きていける。ヒトの支援が受けられない子ども・若者は孤独感に苛まれる。ご自身が関わる児童養護施設から巣立った若者の実態、その後については、ある若者の自死にいたった実例をあげながら「関係性の貧困」の実態と問題点を説明しました。
続いてジャンさんが、日本の大学への留学に伴い、日本に来てからの違和感、アルバイトでの大変な経験を話しました。そして、日本での生活実態、精神状況、そして新型コロナウイルスの影響で一層孤立感を感じた率直な気持ちを説明しました。
小笠原さんは、写真を提示しながら、個人でスリランカ人と関わることになった経緯をもとに、日本とスリランカの歴史を踏まえ、外国人・スリランカ人のこれまでに相談を受けた事例、子ども・若者たちの困りごとを話しました。コロナ禍で、日本語ができないスリランカ人と警察に行き、スリランカ人のご遺体を本国に、輸送する手続きを行ったことを通じて、問題点の提起を行いました。
交流会では、『今からできる!子どもの貧困対策』をテーマに、会場とオンラインは別々にグループを作り、若者がファシリテータ役を担い、自己紹介や今までの経験やパネルディスカッションでの話を元に、問題点やこれから何ができるかについて、意見交換を行いました。
参加者からは、
「ヒトの支援に関して、ヒトを必要とする立場や当人の立場から話を聞くことができた。求められるヒトは共通して家族のような存在になり得る人であり、ヒトの数を充実させるだけならば、行政が率先してヒトを繋げるネットワークを構築していくのが良いと思った(20代男性)」。
「子どもの貧困の元にはシングルマザーなど女性の給与の貧困がある。労働に対するジェンダー差別がある。この状態を改善されない限り、その子どもも大学に行けなく、大人になっても低水準の所得となり、貧困から抜け出せない、社会的問題が大きいのではないか(60代男性)」。
「子どもの貧困対策に対する新たなネットワークや知見を得られればとの思いで参加しました。グループワークでは、参加された方からたくさんの話を聞けて学びになりました。あすのばの給付金でとても助けられている方が、たくさんいます。これからも続けてほしいと思います。学校での就学援助を広める活動も行ってほしいと感じました(30代女性)」等の感想や意見が多世代から寄せられました。
当日は、朝日新聞社・茨城新聞社が取材し、翌朝刊に掲載しました。
・朝日新聞<子どもの貧困を考える 水戸市でシンポ>2021/3/1
https://www.asahi.com/articles/ASP2X74CSP2WUJHB00Z.html?iref=pc_ss_date_article
・茨城新聞<子どもの貧困考える キャラバン、水戸で集会 行政、支援者が討論>2021/3/1
https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=16145171443914
【子どもの貧困対策 全国47都道府県キャラバンin茨城】
日 時:2021年2月28日(日)13時~17時
場 所:茨城県水戸生涯学習センター大講座室(水戸市三の丸1-5-38)
主 催:公益財団法人あすのば
後 援:内閣府、茨城県、朝日新聞水戸総局、茨城新聞社、茨城県教育委員会、茨城県社会福祉協議会、茨城県水戸生涯学習センター、水戸市、水戸市教育委員会、水戸市社会福祉協議会、阿見町、石岡市、潮来市、稲敷市、茨城町、牛久市、大洗町、小美玉市、笠間市、鹿嶋市、かすみがうら市、神栖市、河内町、北茨城市、古河市、五霞町、境町、桜川市、下妻市、常総市、城里町、大子町、高萩市、筑西市、つくば市、つくばみらい市、土浦市、東海村、利根町、取手市、那珂市、行方市、坂東市、常陸太田市、常陸大宮市、日立市、ひたちなか市、鉾田市、美浦村、守谷市、八千代町、結城市、龍ケ崎市
協 力:特定非営利活動法人セカンドリーグ茨城
助 成:公益財団法人キリン福祉財団
参加者:計55人(うち会場参加者30人・オンライン参加者25人)