12月18日(水)午前11時から、衆議院第一議員会館国際会議室で「子どもの貧困対策推進議員連盟総会」が開かれました。総会で、あすのばがまとめた「子どもの貧困がなくなる社会へ-あすのば提言2019」が発表されました。提言の内容は、以下のとおりです。
2019年12月18日
子どもの貧困がなくなる社会へ-あすのば提言2019-
公益財団法人 あすのば
子どもの貧困対策法と大綱の改正において、子ども・若者を含め広く市民の意見を反映していただきました。また、来年度の税制改正では、婚姻歴のない未婚ひとり親や父子家庭の父親にも他のひとり親と同様の税控除の実現にご尽力いただきました。心から感謝申しあげます。以下の提言について、ご高配のほどよろしくお願いいたします。
令和2年度予算などに向けた緊急提言
■大学無償化など文部科学省施策の未婚ひとり親世帯へのみなし控除を
保育料など厚生労働省25施策の未婚ひとり親世帯へのみなし寡婦控除制度と同様に、大学・専門学校無償化など文部科学省施策もみなし寡婦控除制度を新設してください。高等教育無償化は、寡婦控除の有無で年54万円の差が生じます。
■大学・専門学校に進学しない若者にも高等教育無償化同様の手厚い支援を
来年度から本格実施される大学・専門学校給付型奨学金・授業料減免制度と同様に、進学しない若者にも手厚い支援が必要です。就職した若者への所得税・住民税の大幅な減税や進路未決定の若者へのサポートなどすべての若者に光があたる支援をしてください。
■生活保護世帯の大学・専門学校進学における世帯分離を廃止
生活保護世帯の子どもの大学・専門学校進学率は36.0%で全世帯81.5%の半分以下です。貧困の連鎖を断ち切るためには、大学・専門学校への進学における世帯分離を廃止し、生活保護を受けていても進学できる制度にしてください。
■高校生への給付型奨学金の拡充と入学準備金の新設
高校生への給付型奨学金(「奨学給付金」)の住民税非課税世帯第1子と第2子以降の年4~5万円の格差をなくしてください。また、山梨県が独自で実施している5万円の「入学準備サポート事業給付金」制度と同様の「入学準備金」制度を新設し、上乗せしてください。
■児童扶養手当を増額し、すべての生活困窮世帯への経済的支援を
貧困率が極めて高いひとり親世帯への児童扶養手当の支給額を増額してください。また、生活保護受給世帯やひとり親世帯以外の生活困窮世帯への経済的支援はほとんどありません。児童扶養手当と同じような経済的支援制度を新設してください。
■ふたり親多子世帯や外国ルーツの子どもなど多様な世帯への支援の充実
新しい子供の貧困対策大綱で「困難層は多様であることに留意する」と明記されました。ふたり親多子世帯や外国ルーツの子どもなどへの対策は不十分です。制度の壁や崖をなくし、ひとり親支援制度の対象拡大など多様な世帯への柔軟な対策推進を望みます。
■すべての市町村で実効性の高い子どもの貧困対策計画の策定を
子どもの貧困対策法と大綱の改正された内容を踏まえ、すべての市町村で実効性の高い子どもの貧困対策計画を策定してください。また、都道府県・政令市においては、より充実した計画に改正してください。国は、そのための手厚い予算措置などをしてください。
【子どもの貧困世帯全体への対策】
■支援制度に関する情報の簡潔でわかりやすい周知・広報の徹底
■気軽にどんなことでも相談できる真のワンストップの行政窓口の整備
■個人のニーズに合った支援サービスにつなぐことができる相談員の派遣
■適切な支援のために、福祉・教育・支援団体などでの個人情報の共有
■多重に困難を抱えている世帯に出向くアウトリーチ型の支援を全国各地に
■公営住宅や空き家の活用・賃貸住宅の家賃補助など住居費負担の軽減
■電気・ガス・水道・通信などライフラインの費用負担の軽減
■高校卒業時まで医療費負担の軽減
■フードバンクなど食に困窮する世帯への食料支援の拡充
■子ども支援のみならず世代を超え地域一体での居場所づくり事業の推進
■子どもの就職活動のための支援金制度の新設
■教育機会の均等を図るため、学校外教育クーポンや学習支援の拡充
【大学・専門学校生や同世代の若者への対策】
■確実に手に職をつけるための若者への就労支援制度の拡充
■奨学金の返還が困難な若者へのより柔軟な返還猶予や減免措置
■受験料・入学費用、資格取得費用の負担軽減や新生活への経済支援の拡充
■大学・専門学校でもスクールソーシャルワーカー等による相談体制の充実を
【高校生などへの対策】
■とくに困難を抱える生徒の多い高校での生徒の中退防止の促進
■校内居場所カフェなどを設置への予算措置をし、専門的な支援体制の構築を
■中卒や高校中退者への学び直しや就労支援の強化
■生徒の妊娠による自主中退の風潮を改め、卒業までの学業生活の支援
■通学などの交通費補助や給食などの実施などで経済的負担の軽減を
■資格取得費用、模擬試験の受験料、大学受験料などの負担の軽減を
■高校卒業時まで児童手当の延長を
【小・中学生への対策】
■給食の全校実施と無償化をし、長期休暇中も給食などの提供
■広島県などでの取り組みと同様に、全国の学校で朝食の無償提供を
■就学援助の市区町村での格差をなくし、全家庭に制度の周知徹底
■全自治体で就学援助「入学準備金」の増額と入学前に前倒し支給
■制服の下着・靴下、靴、鞄など学校指定品の値下げや指定の緩和
■生活困窮世帯の子どもへの学習・生活支援事業の国の補助率を2/3に
■確実に基礎学力が定着するための支援制度の拡充
■不登校の子供たちへの居場所・フリースクールへの通学支援などの拡充
■学校・家庭以外の居場所を各地につくり、入浴や食事などの提供を
【未就学児への対策】
■乳幼児ソーシャルワーカーの新規配置を
■病児保育などの充実で安心して子どもを預けて働ける環境に
■子連れ出社などの親の働き方に合わせた子どもの居場所の確保
【ひとり親世帯への対策】
■児童扶養手当の全部支給の所得制限を200万円に引き上げ
■児童扶養手当の大学・専門学校在学中まで支給延長を
■児童扶養手当の支給を隔月から毎月に
■支払い能力のある親からの養育費の取り立て強化と養育支援金制度の創設
■全国一律でひとり親医療費助成制度の窓口負担ゼロに
■母子父子寡婦福祉資金貸付金を連帯保証人なしでも借りられるように
■母子父子自立支援員などの研修強化と待遇改善
■ひとり親世帯の仕事と子育ての両立支援の拡充
■父子世帯の父親専用の就職などを含めた総合相談窓口の全国配置を
■特定求職者雇用開発助成金の対象にひとり親の母同様に父にも拡大を
【生活保護世帯への対策】
■とくに地方では必需品である自動車保有を生活保護世帯にも認めてください
■高校を中退した生活保護世帯の子どもへの就労指導の見直し
■生活扶助基準引き下げの影響を検証し、生活を保障する新しい基準の設定
【社会的養護のもとで育つ子どもたちへの対策】
■施設退所者が安心して進学・就職できるための経済支援と住居支援
■さまざまな契約時の保証人・保護者記入の障壁をなくす
■社会的養護の枠組みからこぼれ落ちてしまう子どもをゼロに
■就職におけるハンディを克服するためにキャリア教育の機会の拡充
【ふたり親多子世帯や外国ルーツの子どもなどへの対策】
■多言語・多文化などを理解している支援員の配置を
■障害年金を受給していない障害者子育て世帯への給付制度を新設
■働きたくても働くことができない保護者への支援の拡充
【その他の対策】
■地方自治体への地域子供の未来応援交付金の拡充を
■常勤のスクールソーシャルワーカーを私立も含めすべての学校に配置
■支援団体や行政などと学校が連携し、子ども・若者をフォローできる体制を
■学校をプラットフォームとした地域包括支援を拡充し、学校を放課後や夏休みなどに利用できるよう促進を
■教職課程・教員免許更新講習や子どもに関わる専門職・専門資格課程などで子どもの貧困に関する履修や学習支援や子どもの居場所などでの実習
■教育・福祉のみならず医療や司法、矯正・保護など多職種連携をベースとした人材育成を
■全国で比較可能な統一実態調査を実施し、子どもの貧困の「見える化」を
■子どもの貧困対策に関する情報が一元化されたプラットフォームの整備
■行政と子ども支援団体がさらに連携し、相乗効果による対策の推進
■子ども支援に協力する企業への法人税減税など企業の参画の推進
■子どもの権利など改正法や大綱の理念の社会への啓発促進を
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日頃の深いご理解と子どもを支える温かいご支援に厚く御礼申し上げます。
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