「教育や子育て支援などさまざまな取り組みで先駆的な「福祉国家」として日本で語られることが多いフィンランド。そこで暮らす子ども・若者たちはどのようなことを考えているんだろう?」
このような学生世代の発案から、公益財団法人あすのばでは2019年1月19日、20日にフィンランドの若者たちを招いた国際ユースフォーラムをはじめて開催しました。会場には総勢で約90人が集い、フィンランドから学びつつ改めて私たちの社会について考えました。
このフォーラムは、日本とフィンランドが友好関係を結んでから100年を迎え、「子どもの貧困対策法」施行5年を迎えるにあたってUPS(国際輸送サービス)さまの助成寄附を活用させていただき開催しました。
フォーラム①では、まず日本とフィンランドの若者たちが両国の特徴について同じこと・異なることをお互いに質問しながら出し合いました。自然豊かな環境や少しシャイな人が多いといった自然・文化的側面の共通点から、放課後・休日の時間の使い方など生活面や男女平等意識や若者世代の政治への意識など社会的な違いも共有されました。その後「私たちが考える理想の社会とは?」というテーマで話し合いを行い、「落ちこぼれをつくらない社会」、「地域を一緒につくり個性を受け入れる社会」など若者たち等身大の理想の社会が語られました。
続いてフォーラム②では、まず平塚眞樹・法政大学教授より「フィンランドにおける子ども・若者支援~子どもが豊かに育つ社会とは?」というテーマで基調講演をしていただきました。講演では、フィンランドの子ども・若者支援から「子ども・若者全体が大人へと育つ社会環境をつくることが公的責任とされてきたこと」を学ぶべきで、フィンランドでは法律で投票権がない人の声を聴かなければいけないと規定されていることやユースワーク(若者支援)の多様さなどについて教えて共有していただきました。
講演のあとは、若者の声を聴くためのヘルシンキ市における取り組み「Helsinki Youth Council(ヘルシンキ若者協議会)」とメディアに対し若者の声を届ける「Youth Voice Editorial Board(若者の声編集委員会)」の活動を行うフィンランドの若者2人(16歳と18歳)から報告がありました。両活動とも「Equality(平等)」や「Respect(尊重)」を価値意識に持ち、若者2人からは活動内容や活動を始めたきっかけ、成果や課題などについて報告していただきました。
フォーラム②の最後は日本とフィンランドの若者によるシンポジウムが行われました。ヘルシンキ若者協議会を実際に視察した日本の高校生は「日本における子ども議会は単なるイベントみたいになっているところもあるが、フィンランドの協議会は年間を通して若者代表の選挙や子ども・若者関連予算への意見など本格的な取り組みだった」という意見もありました。また、「Free time(自由時間)」が自分らしさをつくるという基調講演も踏まえてストレスマネージメントをどのようにしているかなど幅広く議論が交わされました。
フォーラム2日目は、参加者同士の交流や日本の実践視察を目的とした都内エクスカーションが行われました。上野や浅草、両国、原宿、渋谷などの観光に加えて都内にある日本の子ども・若者向けのセンターへおじゃまさせていただきました。おかげさまで2日間の国際ユースフォーラムは充実した内容になり、いつの日かの再会を約束しつつ会は終了となりました。