「未婚・非婚ひとり親にも死別・離別のひとり親と同様の寡婦控除を」。
12月11日午前、子どもの貧困対策推進議員連盟の総会が衆議院第一議員会館で開催され、平成31年度予算・税制改正などに向けたあすのばからの提言などについて議論されました。
総会の冒頭に議連会長の田村憲久・元厚生労働大臣は、「きょうは、あすのばから税制や予算に関する要望をいただき、あわせて前回も申しあげたが、子どもの貧困対策法が5年を迎え、その見直しの議論をすすめていかなければならないし、大綱の見直しもある。内閣府から現状報告もいただきたい」と述べました。
そして、平成31年度予算・税制改正などに向けた緊急提言について、小河光治・あすのば代表理事、赤石千衣子・しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長(あすのば評議員)、秋吉晴子・しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄代表(同アドバイザー)、非婚ひとり親の当事者の女性が要望しました。
最初に、①税制の寡婦控除を婚姻歴のない未婚・非婚のひとり親への適用に関して、赤石さんは、「今年から厚生労働省の25事業でみなし寡婦控除が適用になり、とてもありがたいが、文部科学省の制度では適用されていない。未婚・非婚のひとり親93人アンケート結果では、『税金が高くて家計のしわ寄せが子どもにも及んだ、肩身が狭い、子どもに申し訳ない、だれにも言えないので孤立している』などの声が多かった。私も非婚のひとり親で、子どもは30代になったが、研究職として世界で貢献するべくがんばっている。子どもは巣立っていけば社会に貢献することを心に留めていただければと思う」と発言。
続いて秋吉さんは、「沖縄は若年出産が多く、それが原因で非婚のシングルマザーになった家庭が多い。沖縄のシングルマザーの12%が非婚で全国一。所得も死別・離別よりも低い。私たち非婚のシングルマザーは、ひとりでもいいから子どもを産み育てようと決心した母親たちだ。そうした覚悟をもって産んだが、税金が重い、子どもが給付型奨学金をもらえなくてもよいという覚悟は含まれていない。所得制限によって子どもの就学で不利になる税制改正にはしてほしくない」と訴えました。
さらに、非婚ひとり親の当事者の女性は、「自分でも非婚になるとは思っていなかったが、周囲から白い眼で見られ、肩身の狭い思いをしてきた。出産後に寡婦控除の対象にならないことを知り、差別を受けているように感じ、さみしい思いになった。どうか子どもが影響を受けないようにお願いします」と話しました。
続いて、小河代表理事がその他の緊急提言を発表。
②低所得者世帯への大学・専門学校給付型奨学金・授業料減免の大幅拡充、
③高校生への給付型奨学金の拡充と入学準備金の新設、
④生活保護世帯の大学・専門学校進学における世帯分離を廃止、
⑤児童扶養手当の支給を毎月払いにし、大学など在学中まで支給延長、
⑥ふたり親多子世帯や外国ルーツの子どもなど多様な世帯への支援の充実、
⑦地方自治体への地域子供の未来応援交付金のさらなる活用、に関して要望しました。
提言全文は以下のとおり。
https://www.usnova.org/wp-content/uploads/2018/12/teigen181211.pdf
国会議員からは、「寡婦控除について、公明党として臨時国会冒頭の代表質問で斉藤幹事長が質問し、すすめて行くべきというスタンス。きょうの与党税調でもねばり強くやるので、ここにいる先生方にも応援してほしい」、「寡婦控除の拡大は、ぜひ必要なので与党のみなさんにがんばってほしい。生活保護の世帯分離について、大学などの入学一時金制度などは大きな一歩だが、その成果を検証し今後議連でも議論してほしい。外国ルーツの子どもの教育問題も深刻だ」、「児童扶養手当の毎月支給については、長年にわたる要望なのでぜひ実現してほしい」、「沖縄の子どもの貧困対策もさらに充実が必要。学童保育の公的支援もとても低い。沖縄の課題と対策を掘り下げる必要があり超党派で調査に行った方がいい」、「学習支援は、学習塾などへのクーポンの活用も有効ではないか。学習・生活支援への国の支援割合も低い」など活発な議論がされました。
最後に、司会の牧原秀樹・前厚生労働副大臣は、「寡婦控除については、与党税調の結果も聞いた上で、今後さらに幅広く意見を聞いて、例えばひとり親控除など税制の名前を変えることなども検討が必要だと思う」と述べました。